計画的偶発性の自己怪事
【第15回:産業カウンセラー】
「1級キャリアコンサルティング技能士の大井宗太郎が人生を振返る中で見つけたキャリアサンプル」を不定期にお届けするコラムです。
傾聴から始まったキャリアの転機。初カウンセリングで得た“ひと言”の力と小さな成功体験。
ファッション専門学校で講師を始めて感じたことは、メンタル不調の学生が多いこと。
何とかならないものか、そんなことを考えていた時、経営コンサルタントとして関わっていた顧問先の社長から「大井さんは、話を聞くのが上手」とヨイショされ、色々調べました。たどり着いたのが、産業カウンセラー。
養成講座に20万円はきついな、グズグズしているうちにキャンセル待ちになってしまいました。ところがキャンセルが出て、縁があったんですね。その時、キャンセルが出なければ、今の私はなかったかも。
そこで傾聴をしっかり学び、タイプの違う二人の講師に巡り合い、また、同期の仲間とは、日本橋カウンセリング研究会(NCK)を立上げ、勉強会は300回を越えました。
さて、産業カウンセラーの資格を取りましたが、実践の場は中々ありません。あるクラスにゴスロリ(ゴシック&ロリータ)の学生Aさんがいました。ギャル系学生が多かったので、一人浮いているのは一目瞭然。話をするクラスメイトもなく、辛そうでした。思い切って声を掛けたところ、カウンセリング受けたいとの返事があり、日時が決まりました。初めてのカウンセリング、失敗は許されない、不安に駆られ、どうしよう。悩んだ挙句、養成講座の講師に相談、勇気づけられて面談しました。
しっかり傾聴に努めました。「何で皆が私を変な目で見たり、無視したり、ハブるのか、わからない」主訴はそんな感じでした。私は意図したわけではありませんが、「皆もゴスロリしたくてもできないから、羨ましいんじゃないのかな」と呟いたところ、「あ、そっか、羨ましいのか!」妙に合点がいったようで、表情も一気に変わり、早々にカウンセリング終了となりました。これで良かったのか、分かりませんが、私も初カウンセリングの緊張から解放されて、小さな達成感を感じたのを今でも鮮明に覚えています。
初めてのクライエントがAさんで良かった。その後の自信に繋がりました。Aさん、ありがとう。今も自分らしく、ファッションを楽しんでいますか?
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