偶発的偶発性の自己怪事
【第5回:デートDV】
「1級キャリアコンサルティング技能士の大井宗太郎が人生を振返る中で見つけたキャリアサンプル」を不定期にお届けするコラムです。
“もしも”のための学びが、“まさか”の現実に──支援の力が家族を救うとき
娘が中学に進学した頃、娘にも彼氏ができるかもしれない、その男が暴力男だったら困るなぁと思い、世田谷区が後援していた、「デートDVせたがやネットワーク」のファシリテーター養成講座に参加しました。今でもその時のメンバー6名で細々と活動を続けています。中学、高校、大学への出前講座や区内での啓蒙活動です。デートDVとは簡単に言うと結婚前の交際相手から受ける様々な暴力です。身体的、精神的、経済的、社会的、性的暴力などです。このメンバーのうち、私を含めて5名が産業カウンセラーです。多くの方が相談業務に就かれて、弱者の支援をされています。
ここで学ぶ中で、私は学生時代にデートDVの被害者だったということを知りました。私に対する焼きもち、嫉妬心から身体的、精神的DVを受けていたんだと。束縛が凄かった。
案の定と言いたくありませんが、娘が高校時代付き合っていた彼氏がDV男でした。家にも頻繁に来て外面は真面目な青年でした。ただ、二人きりになったり、相手に家に行くと暴力男に変貌したようです。妻も何度も注意しました。私もリーフレットを見せながら説明しました、その時は素直に謝罪し、二度としませんと誓います、しかし繰り返します。ある時、身体に痣を作って娘が帰宅しました。詳しく状況を聞いて、次は殺されるかもしれないと感じた私は、娘の別れたいという意思確認をした上で、相手の住む所轄警察署に訴えました。翌日、自宅に警察官が来て、娘から事情聴取と証拠確認をしました。2日後、相手は逮捕され、その後、裁判所から接近禁止令が出ました。暫くは、落ち着かない日々でした。警察も予想以上に対応をしてくれましたが、私が警察と判断できたのは、養成講座で勉強していたからです。躊躇していたら娘の命は・・・。娘の命を救えたと自負する事件でした。デートDVせたがやネットワークに感謝です。
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